日本とドイツのキッチン比較 ― 2022年12月20日 05:40
今回、妻とキッチン&水回りメーカーのショールーム巡りをして、改めて日本とドイツのキッチン廻りの違いを痛感しました。
私がドイツで利用していたキッチンと今回のショールームで見た日本のキッチンの一例を紹介します。
住んでいたドイツのアパートのキッチンです。
次はとある日本メーカーのシステムキッチンです。
さて、この二つを見比べると決定的に大きく異なる事が二つあります・・・何か分かりますか?(^_^)
先ずはシンクの大きさです。
これは見た目に直ぐに分かると思います。
日本のシンクはどこのメーカーのもドイツより2〜3倍の大きさがあります。
二つ目は、食洗機の大きさで、日本の方が小さいのです。
ドイツのは・・・写真の例では電子レンジ兼オーブンの右側に組み込まれており、上から斜めにガバッと開く大きなものです(^_^)
フライパンはもちろん、パスタをゆでる深い寸胴鍋も丸々楽勝に入る大きさです。
日本のは写真の例では左側シンク下に付いていますが、四角い槽の引き出し構造です。
大きな物もあるようですが、明らかにドイツの物より小さく感じました。
食洗機については日本でもドイツ製のが人気あると聞いています。
私もドイツのアパート2カ所で使ってきましたが、どちらもボッシュ製の大柄の鍋釜も洗える大きな容量の食洗機で、日本のシステムキッチンに設置できるものより遙かに大きな物でした。
このシンクと食洗機の大きさの違いは“洗い”対する考え方に大きな違いがあるからだと思います。
日本は“洗い”は基本シンクが主で食洗機は従の考え方、シンクを大きく洗いがしやすい仕様になっていますね。
ところがドイツは洗いは食洗機が主でシンクは残飯処理のみの役割なんですね。
ドイツでは、大家さんに強く指導されたのが「シンクで食器を洗わないで!食洗機の方が節水です!このブラシで残飯をさっと洗い流して、そのまま食洗機へ!」でした。
柄の付いたブラシがシンクに常設されており、その使い方も指導を受けました(^_^;
ブラシで残飯を落としたら、そのまま食洗機に投入です・・・
「節水!環境!省エネ!」と強く言われ、すっかりそのやり方に慣れ、しかも食後の後始末の楽さをすっかり覚えてしまいました。
が、妻は「食器や後始末は手でやるから食洗機は要らないのでは???」と(^_^;
いや、私は絶対に食洗機を入れたいのです・・・できればドイツ製のを入れたいのですが・・・(^_-)
ショールームで見る限り日本製の食洗機はちゃっちく見えますし・・・
水洗プロペラが1つ・・・(^_^;
ドイツで使っていた食洗機は下、中、上と3つの水洗プロペラが付いており、やはり洗いの強力さが違うみたいですね(^_-)
これは洗濯機にも言えることで、ドイツは洗いへのこだわりが半端じゃありません(^_^;
さて、我が家はどうなるか・・・
今回はキッチンだけではなくお風呂、トイレもショールームで見てきましたが、これは間違いなくドイツより日本の方が上を行っています!ね(^_-)
“終のすみか”について考える ドイツの家考−2d ― 2022年08月29日 06:45
リビングから階段を上がり4階に来ました。
この階には寝室とバス・トイレルームがあります。
ベッドはセミダブルで寝相の悪い私にとっては少し窮屈でした(^_^;
掛け布団は一年中ご覧のような薄いもの一枚で何の問題もなく過ごしていました。
この階も電気式床暖&壁暖で冬はポカポカ、夏は「アナグマ生活」方式で暑さによる寝苦しさは特に感じませんでした。
壁が斜めになっていることからお分かりのようにここは屋根裏部屋なのですが、天井や壁の断熱が利いているので屋根裏部屋の暑さや寒さは全くありません。
これはバス/トイレルーム出入り口から寝室側を見たものですが、この寝室だけは分厚い遮光カーテンがあります。
夏は暗くなるのが23時頃、夜が明けるのが4時頃なので遮光カーテンは必須です。
また、朝一に窓を開放して朝の冷気を取り込み、出かける時には窓&カーテン全閉という「アナグマ生活」のルールによって真昼の温度上昇を防いでいました。
寝る時刻になると外の気温も下がっていますし、窓を開けると良い風が通りますしね(^_^)
必要なら扇風機を利用すれば心地よく眠りにつくことができました。
写っているリビング扇は備え受けですが、やはりドイツらしく超シンプル、弱中強の三段階と首振り機能のみです。
日本の家にあるような揺らぎf分の何とかのような気の利いた風を作ってくれませんし、タイマーなんかも付いていません(^_^;
が、これで必要十二分です(^_^)
ただ、唯一の問題は・・・
ご覧のように部屋のすぐ前はポッペルスドルファーアレーというグリーンベルトになっているので、夏は深夜まで若者達がたむろし騒ぐ事が多く、窓を開けるとその騒音がめちゃ迷惑でした!
特に金土の夜は明け方までどんちゃん騒ぎすることが多々ありました・・・
もちろん、遮音性の高い木製二重ガラス窓を閉めると気にならなくなるのですが・・・
ただ、コロナ禍では静かになりましたけどね(^_^;
次はバス・トイレルームです。
こちらもバスタブ付きでした。
流石に日本のような洗い場はありませんが、時々大きな湯船に浸かるとリフレッシュしますよね(^_^)
日常は気軽なシャワーです。
シャワーはこの様にガラスブースタイプで意外と気軽に利用できました。
給湯ですが、前のドランスドルフの家ではセントラルガスボイラーからの給湯でしたが、こちらは瞬間電気温水器でした。
写真の左上にあるボックスのようなものが瞬間電気温水器で、非常にコンパクトで無音です。
これ一つでキッチン、バス、シャワーの給湯をまかなっています。
日本ではエネルギーコストが高いと敬遠されがちですが、ドイツではオール電化アパートでは当たり前の設備のようですし、会社事務所の湯沸かし室もこれでしたね。
日本では最近ではエコキュートやエネファームという省エネ型の給湯システムが普及してきているようですが、ドイツの一般家庭ではたぶんガスによるセントラル給湯になっているのはないかと思われます。
前のドランスドルフの家もそうなっていましたしね・・・
この辺りのエネルギー源はちょっと最近ドイツが窮地に陥っているみたいです。
太陽光発電や風力発電などの再生ネネルギーが盛んになっていはいますが、カーボンフリーからの石炭火力削減、原子力発電廃止に向かっているドイツ・・・ここに来てウクライナ対応でロシアからのガス供給不安・・・大変なようですね・・・
日本もこれからどんどんエネルギーコストが上がると思いますが、一方で酷暑の夏を涼しく、冬暖かな家を追求する必要がある中で省エネルギー、できればエネルギー収支ゼロ以下の家を追求していかなければならないでしょうね。
そのためには・・・どうしなければならないか・・・
最近の日本の住宅関事情も大きくこの方向に進化してきているようなので、ドイツでの生活の経験を参考に“終の家”を少し考えていこうと思っています・・・
さて・・・どうしようか・・・
つづく
“終のすみか”について考える ドイツの家考−2c ― 2022年08月28日 06:11
ドアを開けて部屋に入りました…
いきなりキッチン&ダイニングです!
コロナ禍で在宅勤務が続き自炊生活を余儀なくされていたので生活感ばっちり出てますが、ご容赦を(^^ゞ
こちらのアパートもフル装備で食器類、調理器具などすべてそろっています。
左奥のドアの向こうはリビングになっています。
そのドアもとにある小さな白いボックスのようなものは前任者が残していってくれた冷凍庫で、冷凍食品の保管や作り置きの食材の冷凍に大活躍してくれました(^.^)
キッチン下には冷蔵庫、電気オーブンレンジ、食洗器も組み込まれています。
ご覧のように、こちらもシンクが最低限の大きさしかなく、やはり洗い物は全て食洗器を使うことが前提となっていますね。
シンク側から見たダイニング部分です。
部屋の入り口横にクローゼットがあり、ここでは日常着る洋服を管理していました。
また、下の引き出しには保存系の和食食材(お米、缶詰、ラーメン、うどん、乾物等)を整理して入れてました(^_-)
丸テーブルは食卓で使っていました。
窓は木製枠の二重ガラスで内倒し・横開きの「ドレーキップ」窓です。
エアコンは当然ながらありません。
暖房は全室電気床・壁暖房で全くスキがありません。
部屋の大きさとしては16~18畳ぐらいはあったかと思います。
ところで、前のドランスドルフの家では洗濯機と乾燥機が専用でキッチンについていましたが、こちらでは他の住人との共同使用ということで部屋の外にありました。
その場所は部屋から出た階段室半階下の小部屋です。
部屋の玄関扉の前、階段下の両サイドに扉が見えますが、左側が洗濯・乾燥室で、右側が掃除用具や共有備品置場になっています。
洗濯・乾燥室には…
最新式のSIEMENS(ジーメンス)の洗濯機と乾燥機一式が設置されていました。
4人の住人で一式を共有となると土日などの休日にかなりの頻度でバッティングするかと危惧しましたが、皆さんの洗濯日スケジュールがずれているらしく私は毎週土曜日午前のルーティンがほぼ支障なくできてました。
もっとも、ドイツの洗濯は日本では想像つかないくらい時間がかかり、スピードモードでも洗濯・乾燥に3時間余りかかるので他の住人とバッティングすると予定が大幅に狂いました。
ノーマルモードでやると更に1時間ほど余計にかかるのですが、その分衣類の痛みも早いように感じます。
以前に「ドイツの食洗器の性能は日本より良い!」と言いましたが、洗濯機の場合は日本の方が衣類にやさしくて時間が短いと思います(^_-)
さて、前のドランスドルフの家ではキッチンに自分専用の洗濯機・乾燥機があったと言いましたが、冬の場合はOKですが、夏の場合、乾燥機の湿気と熱が室内に出て大変でした。
その点、ここは洗濯・乾燥室が個別にあり、かつ「ドレーキップ」窓が内倒しモードでいつも開いているので快適でした。
さて、話を戻して、キッチン・ダイニングの隣のリビングに入ります。
入ってすぐのポイントから眺めたリビングです。
奥に簡易ベットになるソファーとテーブル、そして羽毛布団が中に入ったスツールがセットで置かれてます。
ここではよく会社の同僚たちと飲みました(^_-)
そのままお泊りになるメンバーもいたのですが、布団を出してかけるだけ…で便利でした(^^;
(だたし、コロナ禍になってから、家族以外の複数人数での飲食が禁止となり、アパートに人を呼ぶことができなくなりました…)
さて、大型のTVはケーブルテレビでつながっており、東京オリンピックはこの部屋で大いに楽しみました(^.^)
後ろにあるのがモデムとネットのWi-Fiです。
TVはコロナ禍での在宅勤務の時、Web会議のモニターとしても大活躍してくれました。
先の写真の対角ポイントから眺めたリビングです。
この部屋では小さなテーブルを机代わりにしてました。
コロナ禍での在宅勤務で大活躍です。
一杯飲みながらの食事もここでネットニュース見ながら楽しんでいましたしね(^^ゞ
左のチェストの上に小さな扇風機が見えるかと思いますが、あまりの暑さで扇風機を一台買ってきてここから首振りさせていました。
ちなみに、この最初夏の酷暑の時、店頭から扇風機が消えて手に入らないことがあったので、翌年の夏、早めに買ってきておいて大正解でした。
ただ、扇風機は日本のような多機能なものはなく、弱・中・強の単純三段階の懐かしいものしかなく、それもほとんどが中国製でした…しかも、うるさいのです(^^;
さて、ここで窓付近に注目してください。
先にも書いたように、窓は木枠の二重ガラス「ドレーキップ」窓です。
アルミ枠ではなく木枠なので熱伝導がぐっと小さく、ガラスはガス封入二重ガラスですから、めちゃ断熱性能の良い窓となっています。
そして窓が付いている壁の厚さ…先に紹介した家と同様、ゆうに30㎝以上はあるでしょう。
この家は築100年は越えていると言いましたが、外観上石の家に見えますが実は木造です。
この歴史観を保ちつつ、皮一枚内を現代の高断熱住宅にリノベーションしているのです。
ヨーロッパは「家は代々受け継ぐもの」という思想が根強く、家は100年、200年と続けて使われています。
故に、古い家をその時代に合ったリフォームやリノベーションで使い続けることで、あの美しい街並みが出来上がっているのですね。
日本で「100年住宅」などと言った言葉が出始めてはいますが、日本の住宅平均寿命は30年余りと言われているそうです…この違いは考えさせられますね…
あっ、そうそう、写真では見えませんが、ここに入居する前にオーナーから何かリクエストはないかという問いに対して1点だけリクエストしたものがあります。
それは…
実はこの部屋、窓のカーテンがありません。
窓シャッターもありません。
確かに木枠の二重ガラス窓ですが、夏場の陽の光によって室内温度が上がる懸念がありました。
事実、前任者は夏が暑いと言っていました。
そこで、まどにブラインドを付けてほしいとリクエストしたのです。
見えにくいかもしれませんが、この部屋だけそれぞれの窓毎にロールブラインドを付けてもらい、
夏は
①朝、気温が低い時に窓を全開して冷気を家の中に取り込む
②朝、陽が家の中に入り込み、気温が上がり始めたら窓を全て綴じ、可能な限りカーテンや窓シャッターを閉めて太陽光が家の中に入らないようにする。
③夜、外の気温が過ごしやすい温度に下がったら窓を開ける
という「あなぐま生活」ルール
を守っていました(^_-)
結果、結構ロールブラインドの効果があったと思っています。
さて、お気づきの方もおられると思いますが、このリビングには階段があります。
そう、このアパートはメゾネット式となっており、3階がLDK、4階が寝室・バス・トイレとなっているのです。
それでは階段を登って4階へ…
つづく
“終のすみか”について考える ドイツの家考−2b ― 2022年08月27日 07:21
さて、2つめのアパートの玄関に入りました…
広い階段室となっていますが、先ず目に飛び込んでくるのは…この人形です!
初めて見る人は皆さんびっくりされますね(^^;
階段の“守り神”です…
手に持ったウサギを撫でている天使?(チョウのような羽根がついてます(^^;)でしょうか…
いつからか外出する時や帰ってきた時に頭をナデナデして出入るようになっちゃいました(^.^)
さて、この玄関には温水ヒーターが備わっており、ちゃんと玄関から暖房が利くようになっていますし、やはり断熱性がよいのか夏場も結構涼しかったです。
というのも、階段の左下にはこの建物の半地下に繋がっており、ここが夏でも涼しいので、ここの冷気が階段室の涼しさに繋がっていると思われます。
この半地下にはこの建物のユーティリティー設備が備わっており、オーナーの洗濯場やいくつかの部屋もあったようです。
先のドランスドルフの家と同じですね。
では階段を上がっていきましょう…
階段室の途中にはいくつかの扉があり、オーナー宅と繋がっています。
が、通常は鍵がかかっており、アパート住人は出入りすることができません。
ちなみに玄関をはいってすぐ右に見えるドアの向こうはオーナー宅のキッチンでした(^.^)
この建物、天井高さが非常に高いのでアパートの部屋の入り口がある3階までの階段の道のりが遠いのです(^^;
普通の日本家屋であれば4,5階に相当する高さの3階まで登るのは少々しんどいですが、いい運動になりましたね(^.^)
住人の若いおにいちゃんなんかは一段飛ばしで軽快に登っていきましたが、私は重い買い物袋を持った時には途中で休憩してました(^^;ゞ
古い木の階段をきしませながら…上がってきました…
ようやく3階のアパート部屋の出入り口に近づいてきました。
踊り場のようなフロアーに4枚ドアがあります。
右から反時計回りに「Yellow」「Green」「Red」「Blue」となっています、が、そのような部屋の標記さえありません。
なので、初めて来た人はここで迷ってしまうようですね(^^;
私の部屋は「Red」なので、中央左のドアです。
鍵は玄関と同じ電子錠で共通です。
さて、部屋に入りましょう!
つづく
“終のすみか”について考える ドイツの家考−2a ― 2022年08月26日 06:59
さて、すっかり慣れてきて快適に過ごしていたドランスドルフの住処でしたが、ほぼ1年でボン旧市街の近くに引っ越すことになりました。
そもそもドイツにはあるプロジェクトのために1年限定で赴任していたので、ドランスドルフの住処は1年契約にしていたのです。
が、ほぼプロジェクトも終わりに近づいた頃、思いもかけず本社から現地赴任者との交代を打診されました…
既に60歳を超えている身ですが、ドイツの事業にかなり深くかかわってきたこともあり、最後のご奉公と思い引き受けることにしました。
あと数年!と決めて、快適なドランスドルフの住処の契約延長を進めようとしていたところ、交代する人から「私のアパートに移り住んでほしい」と要請がありました。
そのアパートは何度も行っているので、環境は最高のところだと分かっていましたが、住み慣れたところは離れたくないという思いが強かったものの、本社の担当役員からもそこに住むようにとの指示も来たので了解しました。
というのも、仕事上の対応を考えると動きやすい市内中心部に住む方が良いということです。
その新しいアパートの場所は、ボン旧市街の中心にある旧ケルン選帝侯宮殿(現ボン大学本部)からポッペルスドルファー宮殿まで約500mに渡って繋がる緑地帯、ポッペルスドルファーアレー沿いにありました。
ボン中央駅まで約600mほどで、旧市街は完全に徒歩圏内、どうみても郊外のドランスドルフより便利です。
ライン川まで1㎞余り、目の前が緑豊かな公園のような通りなので、散歩にもベストポジションですし、もちろん仕事上でも臨機応変に動きやすいところでした。
その家の外観は…
4階建ての白亜の館です。
この辺りは旧ケルン選帝侯宮殿からポッペルスドルファー宮殿に至る地域ということもあり、昔から富裕層の住まいがあったところです。
この建物も見た目は新しく見えますが、100年を優に超える古い館で、ボン市の歴史的建造物登録番号が付いている建物でした。
1,2階にはオーナー家族がお住まいで、3,4階がアパート4区画となっています。
築100年越えとはいえ、しっかり現代生活用にリノベーションされており、その状態は追々紹介したいと思います。
さて、アパートへの出入りは中央のオーナー用玄関出と異なり、建物横にある専用出入口からです。
奥に入ると建物横にアパート住人用の専用扉があります。
木製の分厚いドアで、ガラスにも模様が入ってちょとお洒落な出入り口です。
この出入口の左にはインターホンが付いています。
このインターフォンにはカメラ機能はなく、ブザーとマイク・スピーカー機能のみのシンプルなものです。
これ、3階に住む住人にとってはとても便利なもので、部屋からリモートで開錠できるので大変助かりました。
なお、これを見ると部屋の数だけのボタンが4つ「Yellow」「Green」「Red」「Blue」と書いてあるだけです。
この“色”は部屋の名前で、そこに住んでいる人の名前は一切書かれていません。
ドイツでは個人情報保護が日本では想像できないくらい厳しく、表札などめったに出ていないのが普通です。
ですから、仮に宅急便など頼む時には「Red」などと、住所の後に書いておくと配達の人はここにきて「Red」のボタンを押してくれるということになります。
仮に部屋を明記していなかった場合・・・オーナーさん宅に届き、アパート住人玄関の中に置いてくれてました。
郵便物は全てオーナーさんの郵便受けに入り、同様に玄関に置いてくれてましたね。
なお、住人間では顔があった時は当然挨拶しますが(ドイツ人は挨拶をしっかりします)、場合によっては「Red」さんなどと部屋の名前で言うこともしばしばでした(^.^)
さて、玄関のカギは電子錠で、自宅部屋に入る時の鍵と共有でした。
日本ではあまり見かけないタイプで、認識すると挿入口周囲がピカピカと点滅し、ひねると開場するタイプです。
どうも認識暗号が簡単に変えられるようで、オーナーが定期的に認識暗号を変えてくれ、鍵の交換をしに来てくれてました。
もっとも、このような電子錠は接触の具合や電気的障害で時々トラブルことがあり、一度深夜に帰った時に鍵が認識されず、オーナーも寝ていたことから困ったことがありました。
その時は偶然にスペアキーがカバンの中に入っていたのでなんとか入ることができましたが、それ以降必ずスペアキーを持ち歩くことにしました(^^;
さて、それでは中に入りましょう!
つづく
“終のすみか”について考える ドイツの家考−1b ― 2022年08月24日 05:42
さて、続いて最初の1年間住んでいたドイツの家の各部屋を紹介します。
「快適住宅とは?」のヒントがいくつもありました(^_-)
先ずはリビングです。
ここはTVを見たり、音楽を聴いたりくつろぐ部屋ですが、実際の生活では書斎がメインになっていました。
広さは12畳以上はあったかと思います。
TVはケーブルテレビでしたが、NHKなどの国際放送ですらみられませんし、ドイツ語Onlyなのでほとんど見ていませんでした。
ニュースや各種情報はノートパソコンを利用したネットで得ていましたから、特に不便は感じませんでしたね(^^ゞ
この部屋では何度か日本人赴任者仲間を集めて鍋パーティーを行いましたし、妻が約1ヶ月ほどドイツに来た時にはこの部屋で食事をしていました。
右上のドアからはベランダに出られ、妻が来ていた時にはベランダでのんびりランチを取っていたらしいです(^.^)
部屋の窓はもちろん分厚い二重ガラス窓となっており、どれもドイツでよく見かける「ドレーキップ」といわれる2つの開閉モードがある窓です。
上側を室内側に少し倒す換気モードと内開きモードです。
外に開くタイプの窓はドイツでは見かけませんでした。
いずれもしっかりしたタイト材が組み込んであり、閉めて取っ手でロックすると窓枠に密着し、完全密封状態になる窓ですね。
閉めると断熱性能はもちろんですが、防音性能も非常に高いです。
ベランダに出入りするドアも「ドレーキップ」で窓と同じ機能を有しており、多少の雨程度ならば内倒しの換気モードでも雨はほとんど室内に入りませんでした。
なお、室内窓下には温水ヒーターが付いており、窓下での冷気を温めて冬の暖かさは抜群です。
次に隣の部屋、寝室です。
手前の壁に大きなクローゼットがあります。
ベッドはシングルのマットが二つ並ぶダブルサイズでしたが、ドイツ人サイズですからめちゃ大きく、寝相の悪い私は360°回転してもOKです(^_^;
部屋の大きさはリビングと同じ12畳以上です。
窓を閉め切り、窓シャッターまで閉めると部屋は日中でもほぼ真っ暗となり、窓の防音性の高さも相まって睡眠環境はばっちりでした(^.^)
もちろん、窓下には温水ヒーターが付いているので冬暖かく、ここでは毛布1枚で1年過ごせましたね。
次は書斎です。
ここは本来は子供部屋でしょうか…シングルベッドがある8畳くらいの部屋です。
私はここを書斎として使っており、妻が来ていた時はここが彼女の部屋となっていました。
ここからもベランダに出ることが出来ます。
もちろん、窓下には温水ヒーターが付いていますし、窓の換気モードは最高でした。
次はキッチンです。
キッチンには2列並行でテーブルが備わっており、一つは流し台、食洗器、洗濯機、乾燥機が組み込まれ、もう一つには冷蔵庫、IHヒーター、電子レンジオーブンが組み込まれていました。
その他もろもろ食器、料理器具など全部付きです。
それと、この写真が分かりやすいのですが、窓の下には必ず温水ヒーターが付いていて冬も快適です。
この家の生活で最も便利で重宝したのは洗濯機と乾燥機が自分専用で備わっていたことです!
一般的に、多人数が住むアパートなどは洗濯機や乾燥機は共同使用となり、時々他の人とバッティングするんです(^_^;
そんなとき・・・リズムやスケジュールが狂うんですよ・・・
ここではマイペース♪
自分の都合、自分の時計で時間が進む超便利なところでした♪
さて、このキッチンでは日本との使い方の違い、ドイツ人からのアドバイス&指導がいくつかありました。
先ず、見た目の違い…
シンクの大きさです…たぶん、ドイツのシンクは日本と比べると1/2ほどの大きさしかありません。
決して賃貸だから小さいのではなく、どこの家庭に行ってもシンクが小さいのです。
何故か?
それは…ドイツではシンクで食器や鍋・釜・フライパンなどを洗わないからです。
ドイツではほぼ100%と言っていいほど食洗器がキッチンに装備されており、食器や鍋・釜・フライパン、場合によっては換気扇やレンジフードのファン、フィルターまで食洗器で洗うからです。
もちろん、食べ残しなどは事前に処理してから入れないとだめですけどね。
大家さんはじめ会社の同僚から口酸っぱく言われました…「食器などはシンクで洗っちゃダメ!食洗器を使いなさい!」と(^^;
何故か?…この質問への答えは皆さん同じ!「水がもったいないから!」
そう、食洗器の方が圧倒的に使用する水が少なく、節水になるそうです!
一方、日本では食洗器の評判は今一ですよね…食べかすがこびりついて残ったとか、後掃除が大変だとか…
実は日本の食洗器とドイツの食洗器には大きな違いがあるのです。
それは…水流の強さと温度です。
ここまで言うと分かると思いますが、ドイツの食洗器は熱~い水&洗剤で強い水流で洗うので、脂がこびりついた換気扇のファンなんかも綺麗サッパリ!
これは両方使った経験からその差を歴然と実感したことで断言できます。
ただし、あまりにも強力すぎて洗剤と反応しやすい一部のガラス食器に曇りが出やすくなるので注意が必要ですが(^^;
これ、「快適住宅とは?」の必須アイテムの一つかもしれません(^_-)
一方で、洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、IHヒーター、電子レンジオーブン等々については日本とドイツで一長一短があり、ドイツがダントツに優れているとは思いませんでした。
次に、バス・洗面・トイレルームです。
洗面が2つ付いていることから、ここは家族向けという感じですね。
先ほど「ドレーキップ」の窓モードで室内側に倒す換気モードがあると言いましたが、この部屋は冬以外はいつもこのモードにしておき、換気優先としていました。
冬は窓下にある温水ヒーターで温度差なし、ヒートショックなんて関係ありません(^.^)
なお、ドイツのアパートではバスタブ付きの案件は少ないようで、時々湯船に浸かりたい日本人にとってはありがたい仕様となっていました♪
とはいっても、基本はシャワーが気軽なので、週1回程度しか湯船につかっていませんでしたけどね(^^ゞ
でも、気持ちの良いお風呂を楽しみました♪
あっ、そうそう、もちろんウォシュレットのような水洗便座なんてドイツにはありませんよ(^^;
次にベランダです。
リビング、書斎から簡単に出ることができ、天気の良い休日にはよくここに出て黄昏れてました(^^ゞ
この下には大家さんのお庭が広がっており、やはり大家さんも庭木の陰でのんびり本など読んでいることが多く、ベランダからいつも挨拶してました(^_^)
ここで見てもらいたいのは…少しわかりずらいかと思いますが、外壁の厚みです。
窓の取り付け位置を見てください。
窓自身も相当の厚さがあるのですが、窓のセットオフの量からして外壁は30㎝以上の厚みがあります。
相当断熱材が入っていることが予想されますね。
壁断熱です。
さて、この家、単身赴任者としてはオール設備付きでしたから、身の回りのものだけで十分快適に過ごせました。
ただ、夏はエアコンがないので決して涼しいとは言えませんが、先に述べたとおり、家の断熱性能が高いので魔法瓶効果をしっかり利用するような対応、つまりアナグマ生活を送れば十分に耐えることができましたし、窓を全開にすると風通しも良くてとても快適でしたね。
一方冬は文句の付けようのない全室温水ヒーターでポカポカでした。
部屋の中では半そででOK!夜は薄手の布団もしくは毛布一枚で十分でした。
もちろん、全室温度差なんてありませんから、トイレ・バスルームでのヒートショックなんてのもあり得ません。
ともかくも、この家で過ごして、家の窓や天井、床、壁の断熱性能が如何に重要かを思い知らされた一年でした。
最後に、参考ですが…
ドイツの家には必ずと言っていいほど地下室があります。
地下室にユーティリティー設備や洗濯機等々を置くという目的もありますが、意外と暑い夏は室温が上がりにくい地下で過ごすという使い方をしているようでした。
この家の大家さんも地下室に仕事部屋を持っており、夏はもっぱら地下で過ごし、時々庭に出て木陰で…という過ごし方をしているようでしたね。
ともかくも、ドイツでは高断熱の家で冬は暖かく、夏はエアコンなしでアナグマ生活でしのいでいるのを見てとても勉強になりました(^_-)
ずらっと並んだエアコンの室外機から熱をバンバン吐き出している日本とは大違いですね…
では、引き続き2件目のドイツの住処の状況を紹介します…
つづく
“終のすみか”について考える ドイツの家考−1a ― 2022年08月23日 05:41
ここで、私がドイツ赴任期間(4年間)に過ごした部屋を「快適住宅とは?」という目線で紹介し、“ドイツの家”の特徴を確認してみます。
先ず、最初の一年間を過ごした住処です。
場所は旧西ドイツの元首都であったボンの西の郊外、ドランスドルフという地区でした。
ボン市内地下鉄に直接乗り入れているケルンと通ずるLRT2路線とアイフェル地方とを結ぶDB路線に挟まれており、私の住処からは徒歩5分+α程度でLRT2路線の駅がある便利な郊外でした。
“ドルフ”とは「村」の意味で、ここドランスドルフはボン城を守るようにように“騎士”の館を中心として形成した集落のようです。
大きなスーパーマーケットやドラッグストアなどは徒歩5分圏内、通勤時乗り降りするバス停横にもスーパーマーケットがあったので、帰宅帰りに買い物もできて郊外とはいえ非常に便利なところでした。
もちろん、LRTで気軽にボン市内中心部に出かけやすく、帰りやすいという立地でした。
通勤パスでバスはもちろんLRTや地下鉄も乗り放題でしたしね(^_^)
私の住処は個人宅の二階貸し切りです。
外観はドイツの郊外でよく見かけるシンプルな切妻で、半地下1階、地上2階の家です。
この辺りは戦後開発された住宅地で、築50〜60年ほどだったでしょうか。
一階正面中央の玄関は家主さんの玄関で、私の二階の部屋にはこの玄関右横にある専用ドアから出入りするので大家さんの生活圏とは切り離されています。
ここで見て欲しいのは二階の窓です・・・外出する場合は窓を閉め切って窓シャッターを下ろしています。
日中の防犯はもちろんですが、先にも書いたように夏場は窓全閉+窓シャッター全閉によって昼間の室内温度上昇を極力抑えるようにしていました。
全ての窓にはこのようなシャッターが付いており、遮光カーテン変わりとしても利用できます。
ちなみに、部屋の窓にはレースのカーテンしか付いておらず、夜になると最初は窓シャッターを遮光カーテンとして利用していましたが、よくよく見ると郊外の家は夜になっても厚手のカーテンや窓シャッターを降ろしていない事が分かりました。
つまり、家の中がレースのカーテン越しにぼんやり見える程度はドイツの皆さんあまり気にしないのです!
もっとも庭や生け垣などがあり通路との距離があることや、他人の家の中をのぞき込もうとするような人もいませんしね。
この辺りは小さい時からのプライベート保護やマナー教育も小さい時からしっかり行われているようですから。
個人情報保護には非常に厳しいお国柄ですから。
さて、玄関はここです。
普通のガラス窓に見えますが、結構分厚いガラスの二重ガラスでそう簡単にはぶち破れそうにないドアです。
その分かなり重いドアで、重厚感たっぷりでした。
中に入ると直ぐに二階に直結する階段があります。
夏はこのドアから中に入ると直ぐ涼しく、冬は暖かという私にとってはホッとする出入り口でした(^_^)
階段を上がってドアを開けると8畳ぐらいのダイニング兼用の空間が広がっています。
この空間から各部屋にアクセスでき、奥右側がリビング、左側が寝室、右横が書斎、左横がキッチン、左手前横がトイレ・洗面・バスとなっています。
左側手前に写っている赤っぽいクロスがかかっているテーブルは食事の際に使っていました。
左下壁に小さく見えるのはWi-Fi中継器です。
写ってはいませんが、天井には引き下ろしタイプの階段があり、大家さんからは「屋根裏のスペースも荷物置きに使って良いよ」と言われていました。
屋根裏を使うほど荷物がないので使いもしませんでしたが、ある時気になって階段を引き下ろし屋根裏を覗いてみました・・・
そこで見た光景に驚きました!
確かに荷物を置くスペースがありましたが、屋根裏に広がっていたのは分厚い発泡スチロールと思われる断熱材が隙間なく天井にびっしりと敷き詰められている光景だったのです!
その断熱材の厚さはゆうに30cmほどあったでしょうか・・・
おおぉぉぉ!これが噂に聞いていた屋根裏の断熱か!と驚いて見ていました。
屋根からの熱や冷気を天井でシャットアウトしているんですね!
後ほど各部屋の様子も紹介しますが、実はこの屋根裏で見たような分厚い断熱材が壁にも入っているようで、日本の我が家とは外壁の厚さに雲泥の違いがあることも分かりました。
この分厚い断熱層がドイツの家では当たり前のようになっている、いや多分そういった規格や法的規制があるものと推定されました。
つづいて各部屋の様子を紹介します・・・
つづく
ドイツで買った万年筆コレクションの紹介<無印良品編>@ドイツ ― 2022年02月28日 05:54
もう一つ、ドイツで買った東洋の万年筆があります(^_^)
それは・・・日本製、無印良品の「アルミ丸軸万年筆」です!
ネットで万年筆の情報を見ていると、この無印良品の「アルミ丸軸万年筆」の評判もなかなかのものです。
もちろんパイロットやプラチナ、セーラーという日本製万年筆の情報が溢れていますが、日本製の万年筆は日本に帰国してからです。
が、無印良品は世界中に店舗展開しており、デュッセルドルフにもあるのでこの「アルミ丸軸万年筆」が手に入るはずと、デュッセルドルフに行ったついでにお店に寄ってみました♪
文房具売り場にありましたありました♪
早速ゲットです♪
念のためにインクカートリッジも買ったのですが・・・
アルミ丸軸万年筆 19%消費税込みで17.95€(約2,250円)
インクカートリッジ(黒2本) 19%消費税込みで1.95€(約250円)
日本での価格が・・・
アルミ丸軸万年筆 消費税込みで1,090円
インクカートリッジ(黒2本) 消費税込みで105円
倍以上の価格で高いですね(^_^;
でも、これまで現地で購入し紹介してきた同価格帯のドイツ製格安万年筆・・・
・Faver Castell Grip2010 15€(約1,875円)
・ONLINE Bachelor 10€(約1,250円)
・Pelikan Twist 15€(約1,875円)
・LAMY Safari VIST 19.9€(約2,500円)
と比較しても勝とも劣らない外観と品質です!
オールアルミニウムのボディーですっきり細身のストレートデザインです。
細部を見ていきましょう。
キャップ、ペン先、首軸ですが・・・
外観はマット調のアルマイト仕上げで上品です。
Nib、ペン先は小さめですが、IRIDIUM POINTと刻印され、Fを捩った文字と優雅な模様が刻まれてなかなか見た目がGoodですね。
首軸は滑り止めのローレット加工が施されてアクセントポイントになっています。
ペン芯もひだ状がしっかり入っており、インクコントロールも良さそうでインク漏れは心配なさそうです。
キャップは首軸の内側に入り込む嵌合式で、精度も高く作り込まれています。
これは尻軸ですが、キャップポストはこの内側のスリットにキャップが差し込まれる構造となっています。
これも精度良く作り込まれていると感じますね。
ただ、キャップポストすると、軸が細いにもかかわらず通常の万年筆と同じ長さになるので、バランス的には長すぎる外観になるかと思います。
キャップは短いので、キャップポストしなくても十分な長さがあるので、私はキャップを付けずに使うことが多いですね(^_^)
さて、書き味ですが、これがまた良いのですよ(^_-)
私好みの書き音も心地よいのです♪
メタルボディに共鳴しているかのようなシャリシャリ音が良い感じです♪
インクフローも良く鉄ペンのFではありますがヌラヌラ系の書き味ですね♪
ただ、軸が細いので持ち具合に好き嫌いが出るかもしれません。
日本では千円ちょっとで買えますし、外観的にも安っぽさは全く無いので非常にリーズナブルでお勧めの万年筆の一本です!
帰国してからもう一本追加購入しました(^_-)
ドイツで買った万年筆コレクションの紹介<TWSBI編>@ドイツ ― 2022年02月27日 07:13
さて、タイトルが“ドイツで買った・・・”に変わりました(^^;ゞ
実はドイツに居ながらどうしても手に入れたくなった東洋の万年筆がありました。
その一つが台湾のTWSBI(ツイスビー)です。
このブランドは全く知りませんでした。
が、ネットで万年筆情報を漁っている時に、至る所で話題に上がっているのが目につきました。
なんでも台湾製で、過去の海外万年筆OEM技術を駆使して、高品質低価格で素晴らしい・・・云々・・・と。
調べてみると、流行りのスケルトンのデモンストレータータイプでなかなかカッコいいですし、価格もそこそこ。
怪しい格安の中華(中国製)万年筆とは違うようです(^^;
そこで、一番人気のTWSBI Diamond 580シリーズをターゲットに手に入れる方法を検討し始めました。
その前に恒例のTWSBIの紹介を(^_^)
TWSBIは台湾の三文堂筆業有限公司が製造・販売するブランドです。
前身は王仁森、王成昌親子により設立された太幸精密工業で、当初はヨーロッパやアメリカ向けの万年筆、レゴブロックの製造などを40余年に渡り請け負っていましたが、その後Montesaという社名を経て2009年、自社ブランドの立ち上げを決意し三文堂筆業をスタートさせたという比較的新しいブランドです。
2010年の「Diamond 530」を皮切りに、太幸精密工業時代からのプラスチックと金属加工のノウハウを生かしたユニークな万年筆をリリースし続けており、現在はDiamondシリーズ、ECOシリーズ、GOシリーズなどリーズナブルで高品質の万年筆を世に送っています。
TWSBIというブランド名には「3つの文化の殿堂」という意味が込められています。それは中国語で「三文堂」と表されます。「文」は「ことば」そして「文化」を意味します。
そして「三文堂」は、清朝の第6代皇帝・乾隆帝が漢詩を綴った3点の書の大作を飾るために建立した「三宝堂」を想起させます。(その3作のうち1点は現在、台北の国立王宮美術館に、ほかの2点は北京の王宮美術館に展示されています。)
この「三文堂」をアルファベットで表すと「San Wen Tong」となり、頭文字を後ろから表記すれば「TWS」となります。このTWSに中国語で「筆記具」を意味する「BI」を加え、ブランド名をTWSBIと名づけたそうです。
さて、そのTWSBIのシリーズ中で目を付けたDiamond 580シリーズ、どう入手するか・・・
手っ取り早いのはネット通販ですが、私は短期赴任ということでドイツに行ったこともあり、現行口座開設時にデビッドカードしか作っていませんでした。
ネット通販を利用する際にはクレジットカードかPaypal等の決済サービス、銀行からの振り込みなどを利用するしかありませんが、もうすぐ帰任する事が決まっていたので、今更準備するのもどうかなと思っていました。
そんな中、同僚が頻繁にネット通販を使用しているとのことで、購入を同僚にお願いすることにしました(^_^)
同時にお願いしたのが、LAMY1 Safariの14Kニブです(^_-)
で、手に入れたのがこれ!
TWSBI DIAMOND 580 Clear
Amazon.de(ドイツ)で60€(約7,800円)と日本で買うよりもお安く手に入れることが出来ました(^_-)
全体にポリカーボネートが採用され、キラキラとした透明感が魅力ですし、何よりもしっかりとした造りがいいですね。
重さも28gとそのしっかり感が手に感じられます。
Nibペン先はステンレスの鉄ペンで、TWSBIのロゴとブランド名そして台湾らしい模様が刻まれています。
一方、この万年筆の特徴はピストン吸入式であることです。
尻軸のノブも大きくて回しやすく、ピストン機構もしっかりとしています。
胴軸内のインクタンクの容量は2mlと大容量で、一般の万年筆の約2倍ものインクが入ります。
また、Diamondという名に通ずるように胴軸は単純な面ではなくクロスカット的な面なのでキラキラ光りますね(^_^)
キャップの天冠には赤いTWSBIのロゴが存在感を示しています。
ロゴは社名の「三文堂」を現したものらしく、3つの“文”の輪になっていますね。
Nib、首軸にキャップを刺すと、プラチナのスリップシール機構のようなNibの乾燥を防ぐキャップが覆う機構が付いているようです。
また、キャップの縁には商品名「DIAMOND 580」と「TAIWAN」と刻印されています。
さて、書き味ですが・・・
今回はFを購入しましたが、インクフローが凄く良く滑らか、俗に言うヌラヌラ系の書き味で素晴らしいですね♪
やはりネット上での高評価は間違いないですね。
これは待つ価値のある万年筆だと思います。
最後に、このTWSBI万年筆の面白い特徴は・・・分解するレンチなどが付属品として付いていることです。
バラバラに分解できるようで、部品も別売りされているようです。
万が一の時には自分で修理できるのもマニアにとってはありがたいですよねぇ(^_-)
ドイツ万年筆コレクションの紹介<STAEDTLER編>@ドイツ ― 2022年02月26日 08:03
さて、ドイツで手に入れたドイツ万年筆コレクションの最後はSTEADTLERです。

日本でもステッドラーSTAEDTLERはよく見かける筆記具ブランドですよね。
書店などの文房具コーナーでよく見かけるこの「マルス(ローマ軍神)」のロゴは目立っています(^.^)
ただ、製品イメージは製図用の筆記具類であり、万年筆は見かけたことがありませんでした。
ところが、「ステッドラー・プレミアム」と冠したブランドを展開しており、格好よい万年筆がずらりとあるのです、よ。
さて、それではいつものようにSTEADTLERの紹介から始めましょう。
1835年にヨハン・セバスチャン・ステッドラーがドイツのニュルンベルクに会社を設立した事が、ステッドラー社の始まりとなっています。
時は・・・ニュルンベルクがバイエルンの工業中心都市の一つとして大いに発展し、ドイツで初めてニュルンベルクからフュルトまで旅客鉄道が運行した記念すべき年で、日本は江戸時代の天保・・・第十一代将軍徳川家綱、シーボルト事件が起き、天保の大飢饉、大塩平八郎の乱の時期に相当します。
が、実はステッドラーの歴史は更にさかのぼります。
1660年頃(日本は江戸時代、四代将軍徳川家綱の頃です)、木軸を使った鉛筆がニュルンべルクで初めて作られたことに関わり、フリードリッヒ・ステッドラーは代々鉛筆の製造を続けていました。
1600年代前半はプロテスタントとカトリックの対立から起きた30年戦争が起き、ニュルンベルク周辺が荒廃しきった頃でしたが、その後の復興時期に今のような木軸の鉛筆が発明されていたのです。
1795年にフランスの技術者によって黒鉛と粘土を混ぜる加工技術が開発されると、フリードリッヒの曾孫にあたるパウルス・ステッドラーが新しい製造方法を模索、開発し、ニュルンベルクの代表的な技巧の新たな躍進の土台を築きあげたそうなんです。
そのパウルスの息子であるヨハン・セバスチャン・ステッドラーがJ.S.ステッドラー社を設立。
黒鉛や粘土とは別に天然色素を利用し、色鉛筆をも作り出して会社は発展を遂げ、1870年頃にはヨーロッパ各国だけでなく東洋にも販売網を広げていった・・・のです。
その創業時のマークは今の「マルス(ローマ軍神)」ではなく「月(LUNA)」と「ラクダ(CAMEL)」がトレードマークで、その後世界中で知られる存在まで成長しました。
かつての「月(LUNA)」のトレードマークの資料を見つけたので紹介しておきます。
そして現在、高品質のマークとして知られる「マルス(ローマ軍神)」が1900年に登録され、洗練されたマルス・ブルーはブランドイメージのひとつになったのです。
しかもその「マルス(ローマ軍神)」でさえ時代と共に変化しているのです♪
さて、そのステッドラーの万年筆ですが、「ステッドラー・プレミアム」として“Initium collection”で5品種、“J.S. Staedtler Collection”で7品種展開しているようです。
前者の“Initium collection”が比較的手が出る価格ですが、後者の“J.S. Staedtler Collection”ともなるとそう簡単に手が出る価格帯ではありません(^^;
しかし、いずれもステッドラーらしいカチッとしたデザインでカッコいいなぁ~とネットで眺めていました。
その中でも目を引いたのが“Initium collection”の「Metallum」だったのです。
ヘアライン加工されたであろうアルミ軸の質感が何とも言えず、一度は見てみたいと思っていました。
が、なかなか実物に会うことができず、帰国の途に就いたのです・・・
ところが・・・フランクフルト国際空港で出会ったのです!
帰国時はオミクロン株が流行り出す前のコロナ禍が少し緩んだ時期で、これまで閉鎖していた空港の免税店が再開していました。
免税店は決して安くはないことを知っていたので、これまでは見向きもしなかったのですが、とあるお店にドイツ文房具がずらっと並んでいたので引き込まれてしまいました(^^;ゞ
その中に、クルンクルンと回転展示してあったのがこれです!
正に指をくわえてPC画面を見入っていたステッドラーの「Metallum」でした♪
やっと会えた~ぁと手を出そうとしたその瞬間、ひと手違いで先に他のお客さんがピックアップし・・・お買い上げ!
えぇぇぇ~~~~(T.T)・・・と奈落へ落ちそうに・・・
が、気を取り直して店員さんにリクエストしてみました・・・
・・・・・・
在庫品を探してもらったところ・・・ありました!!(^.^)
で、無事私の手元に、です♪♪♪♪
飛行機搭乗待ちのラウンジでビールを飲みながらニタニタ眺め、そのまま日本にお持ち帰りです♪
Nibはステンレスの鉄ペンで、シンプルながらマルスが刻印されています。
天冠にもマルスとSTAEDTLERの文字が刻まれています♪
そしてキャップには“MADE IN GARMAY”
さて、この「Metallum」の書き心地です・・・まず一番の印象は・・・重い!です。
インクが入っていない乾燥重量で、なんと48.6gもあり、持っている万年筆の中では最重量です。
あの太くて重そうなモンブラン マイスターシュッテク149でさえ32g、一般的な万年筆は軽いもので10g台、普通は20g台ですから、ほぼ倍以上の重さです。
キャップだけで23.1gもあります。
じっくり重さを味わって書くには良いでしょうが、正直重さで書き疲れてしまうように思われます。
軽くするにはキャップポストしなくて書くのが良いでしょう。
バランスも悪くありません。
オール金属製という塊感は素晴らしいのですが、それがもろに重さとして跳ね返っていますね。
その重さを支えるためには首軸をしっかり保持する必要がありますが、ここが少々つるつるしていて滑るのです・・・(^^;
ちょいと書く時の保持に工夫がいりそうです。
あっそうそう、肝心かなめのNib、ペン先の具合ですが、サイズはMでヨーロッパのペンらしくインクフローは潤沢でヌラヌラ♪
書き味Good♪です。
これにてドイツで入手したドイツ万年筆コレクションの紹介を終わります。
実際には日本に帰国してからもドイツ万年筆を買い続けており、ドイツ万年筆コレクションは増えています。
これらについてはまた機会を見つけて紹介したいと思います。
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